姫路駅前広場:「えきまえ里山」キャッスルガーデン:姫路市


(写真:2019年1月16日 最初の植栽から約2年後)
JR姫路駅前のキャッスルガーデンは観光客や地元の人々にも目に止まりやすい駅前の一等地。その一角に植えられていた樹木が枯れていました。
キャッスルガーデンとそこの環境について
キャッスルガーデンはコンセプトとして、城と同じ木、鉄、石を使ったハードのデザインがされているのですが、植えられた樹木はよく使われるもので、姫路の気候に合ったものや、自生している樹木を使ってというふうに選ばれたわけではなく、流通のものを植えられています。暑さに弱いものが、暑くなる場所に植えられていたり、管理がちゃんとされていなかったり、土に植えられているのではなく、コンクリートのプランターのような状態になっていたり(下もコンクリート)、色々と問題があるこの場所を、姫路の自然を再現したような場所として、管理の仕方も含め、これからの街の緑の管理のモデルとなるようなものとして提案しようと思っています。
ハードは良いのに植物がもったいない!
キャッスルガーデン内の植物をどうにかできないか。そう以前から考えていましたが、行政管理の場所を気軽に触ることもできない。マチヅカイ大学は姫路市が主催。交渉すれば可能かもしれないということで、チームメンバーと一緒に提案。交渉しました。
枯れつつあったソヨゴをどうにかしたいがはじまり

もともと植えられた木は株立のソヨゴ。12本幹を持ってきた樹木が、そのうち11本が枯れたままの状態。うち1本だけが残り、ひこばえが生えてきて弱々しく生きている状態でした。
この場所はJR姫路駅前。1日7万人以上の人々が行き交う駅を出てすぐの場所。この場所に枯れた状態の木をそのまま放置し続けることはあまりにもったいないものでした。
市民が街を使って自分たちでよく変えていく「姫路マチヅカイ大学」でのとりくみ
もともと、私が個人的にずっと駅前広場の整備がきれいにされてとても良くなっているのに緑が残念すぎる。もっとよくできるのにと考えていたことが発端でした。その後、2016年の姫路マチヅカイ大学に参加。
その時のテーマが「自分たちで『にぎわい交流広場』を使用して、こんな面白い事をしてみたい!」提案という内容でした。
ただ木を植えるのではなく、姫路の里山の風景を駅前に再現というコンセプト
まずはグループにわかれてグループメンバーとディスカッションしている中で、やりたいこと、こんなことができるというのを話し合いました。植栽予算があるわけではなかったのと、姫路駅前という立地もっと意味をもたせたものをやるべきという話になり、姫路市内の山で山採りした樹木を使って、土壌改良もすべて姫路市内の材料からでやり直すというコンセプトになりました。
姫路駅前で市民も観光客も大勢来る場所。憩いの場でもあり、大勢の方が昼も夜も座って過ごす場所。大きな木があり、その木陰でくつろぐ雰囲気を作れると良いなと思いながらの話合いでした。
植えるときがスタートでみんなで育む
里山というコンセプトを入れたのも、かつての里山の風景のように人の手が加わってその場所や樹木の樹形などが変化していくという形を作りたかったからです。植栽ますが1.2m×1.2mのコンクリートプランターのような場所という制約もあり、ただ大きく育てるのは難しい。だから、大きくするのではなく、ある程度育ったらかつての里山のように、幹を切って萌芽再生させて樹形を変えていく。と言う形にしよう。それなら里山に多いコナラなどの落葉広葉樹を使えるだろう。と考えて、植えるだけではなく、そこから育てていく。ただのイベントではなく、継続して関わり続ける形を取ろういうこともコンセプトに入れました。
名前は「えきまえ里山」
駅前に里山の風景を再現する。季節の変化や木陰、季節の花など、様々な変化が野山では起こっていますが、街中での生活ではそれを実感することは難しいです。それが駅前に小さくでもあれば、通ったときに、「あ。この花が咲いている」などの変化を日常的に感じられるのではないかと思います。
そんなこともあって取組の名前を「えきまえ里山」としました。
山を探すところから始める。
たまたまマチヅカイ大学のファシリテーターの方が市内に山を持っているという幸運もあり、その山で掘り取れるものがあるか探しに行こうということになりました。山を歩いて使えそうな樹木に印をつけて、また別の日に一日かけてほりとり作業。マチヅカイ大学の参加者の方とSNSなどで呼びかけた関心のある方々によって堀取り作業をおこないました。メインで使うのは3.8mのコナラ。それ以外は小さなサイズのものを中心に掘りました




初日は既存のソヨゴの剪定と土の改良
まずはソヨゴの剪定から
既存のソヨゴは植えられてすぐに枯れたようで、生えていた株も手で取れるような状態のものも多くありました。
それを取って、使える生きている部分だけ活かすようにしました。 それからソヨゴを掘りとりましたが、最初の根鉢の土にあった根がすべて腐っていて、幹からの発根でかろうじて生きている状態でした。15センチ超深植えされていて、根が出れない状態だったようです。地下支柱を壊して外して掘り上げましたが、幹から発根した根しかないので、再度使う場合でも同じように深植えするしかない状態でした。
排水も確認しましたが、1箇所小さいパイプがついてるだけ。これだけだと心配なので暗渠パイプを下に通して常に排水する層を確保。埋め戻して一日目が終了。




2日目は植栽の日。
この日のために準備してきた樹木を運び込み、どれを使ってどれを使わないかを検討、まずは配置。
それから土の改良。入っていた土は真砂土のみ。真砂土だと締まりすぎて水はけも悪く、水持ちも悪い。通気も悪く樹木が生育するには厳しい環境なので、少し多めに姫路市内の落ち葉や刈り草を堆肥化した土壌改良材を使って土の機能改善。
それから一本一本植えていきます。来てくれた方全員が何かしら体験できるように少しずつ作業に参加してもらいました。




完成直後の写真(2017年2月18日)
植えた樹木は
高木
コナラ3.8m(落葉高木)をメインに、既存のソヨゴ(常緑)、山採りのソヨゴ(常緑)、
低木
春に紫の花が咲くコバノミツバツツジ、ナツハゼ、ネジキ、ユズリハ、アセビ、モチツツジ
下草
ヤブコウジ、コウヤボウキ、スゲ、タツナミソウ、
計16種。姫路の山や山すそなどから採取したものだけを植えました。
2017年11月8日の夜の様子。
植えられた樹木は1種類ユズリハが消えてしまった以外は順調に生育しています。約10ヶ月後ですが、樹木も生育し、これからこの場所にあった樹形を作っていってくれるでしょう。手入れは定期的に2ヶ月に一度位のペースで、作ったときのメンバーで集まってやっています。
植えられたあとの手入れなど詳しくはコラムへどうぞ



2019年1月16日撮影。
秋冬の手入れをしていないので足元は少し雑然としてますが、2年経ってからも植えた樹木はどれも元気に育っています。一部モミジなど折れた(誰かに切られた)のでおかしくはなっていますが、その他のものは順調に生育中。




2019年1月25日
年1回の剪定。コナラを大きく剪定。下の方の枝を落として上の枝を伸びるように誘引的な剪定。
樹高測定してみると4.4m。植えた当初は3.8mだったので、60cm伸びていました。もっと伸びたと思っていましたが、コナラの生育は2年間で平均するとたったの30cm/年。
意外にゆっくり。生育が遅めの理由があるため、2019年、2020年と少しずつ修正。
2019年7月29日
夏の手入れ。4人参加で手入れと、最初からいたソヨゴと、モミジの撤去。
下草が育ちすぎていたので、一度すべて取り除きました。移植、掃除などを含めて2時間の作業。
手入れ前

手入れ後。

2020年3月10日。
冬の手入れ。前回の夏の手入れからほとんど何もしていない状態でしたが、雑草が多かった(ウッドチップが分解してしまったため)以外はほとんど手入れをする必要がありませんでした。コナラの剪定を一年ちょっとぶりに。今年は昨年より伸びていて5メートルは超えていそうです。
手入れの問題でもありますが、参加者が減少(案内不足もあり)のため、今後の活動をどう進めていけば良いか、検討中。リビングソイル研究所としては関わることによるメリットは十分あります。公共の場で誰もが来る場所で、今後の緑のあり方を提示する場所。もっと活かせる形、関わる方が増える形ができないものでしょうか。