ますます大切な、これからの土づくり

すこやかな土が生まれる仕組みを。

自然の中でも、人がつくった公園でも、土がつくられるプロセスを見ることができます。 土を適切に管理していくには、自然の中でどのように生み出されているのかを知っておくことが大切です。

スタートは「太陽エネルギーと、植物というソーラーパネルの活用」から。

植物は太陽のエネルギーを受けて育ち、生育を終えた植物などはバクテリアや菌などの生き物のエサになり、これらの微生物は大きな生物に食べられて…食物連鎖が生じます。田畑でも公園でも家庭でも、土がつくられる基本的なプロセスはこの自然のモデルを参考にすることができるのです。

・落ち葉堆肥→山などでは、太陽エネルギーを受けて育った樹木の葉がそのまま土に還ります。
・レンゲ畑→農地では、太陽エネルギーで生育したレンゲの葉や花、根が土に還っていきます。
・敷きワラ→太陽エネルギーで、米・麦が生育。土を保護し、水の蒸発を防いで生物の生きる環境をつくるため、作物の周辺を脱穀後のワラで覆います。

土づくりは、専門家にしかできないか?

自然環境の中では、特に何もしなくても土がつくられていきます。その仕組みに習って管理していけば、土づくりはだれにとっても可能です。

たとえば、落ち葉を土に変えるのは、私たち人間ではありません。どれだけ細かく切り刻んでも、細かい葉っぱのかけらになるだけ。

機械式の生ごみ処理機なら、乾燥した粉末状になりますが、水分を含むと再び臭いが発生します。生ゴミや落ち葉を土に変えていくのは、生物のはたらき。私たちには、生き物が暮らす環境をつくることしかできません。土づくりは、環境さえ整えば生き物の力を借りることでだれにでも可能です。

農業は可能性に満ちている。

今、土を考える農業の可能性が見直されています。有機農業やオーガニックというくくりではなく、生態系に着目した農業など、さまざまな切り口で土の機能を高めて維持したり生物の環境を整えるメリットが見いだされています。また、土の状態が改善されると、干ばつや洪水が発生しても被害が少なく、化学肥料を使った場合と同等かそれ以上の収穫量を確保できるようになるなど、数多くの成果も見られます。

エネルギーの使用を最小限にしながら、肥料の投入量をできるだけ減少させ、省力化しながら収穫量を最大化する。そういうモデルの追求や研究も多々あります。江戸時代にもどるのではなく、21世紀の資源を活用し、自然に配慮する農業は可能性に満ちています。

土づくりを考える際に一番大切なことは、その土地の歴史や風土、土の状態を知ること。どんなものを使って、どんな技術で…ということばかりが取り上げられますが、土地によって土の質や使われ方、歴史、地質などすべてが違っています。植物が育つ際の問題点も実にさまざま。 土の状態を観察し、何が必要なのかを検討してから使う資材や技術を選択するべきではないかと想うのです。

土の特性が違うのに、改善策が決まっているのはおかしな話。ですが、状態を理解していれば、改善というゴールに向かうアプローチはいくつもあって良いはずです。まず、土の状態を知りましょう。それが土づくりの始まりです。

土も、数字が大事なのか?

土づくりの場合も、数字にもとづいたアプロ ーチを好む方が大勢います。

けれど、完璧に数値化すれば立派な植物が育つかというと、そうではありません。分析機関や専門家がいなければわからない、一つのものの見方でしかない分析数値を絶対視しても、土壌の中の生物についてや、通気や排水などの物理性のほとんどは数字にすることができません。

いくら養分のバランスがよくても、排水できずに根腐れする環境では植物は育たないのです。人の体や栄養を数値化することは可能ですが、データだけを見るのではなく、さまざまな角度から分析を行い、つねに広い視点で植物が育つのに最適な土の状態を考える必要があります。

交換ではなく、改善を。

プランターで植物を育てている方に多く見られるのが、土の状態が悪くなったら交換しようとすること。本来、土は使い続けるものであり、万が一植物が育たなくなった場合でも土を改善していけば、またいくらでも使えるようになります。

ゴミ扱いするのではなく、どうすれば土を改善できるのか。それはプランターでも、大地においても同じこと。自然の仕組みを参考に、生命のサイクルを生み出しましょう。

庭という、最も身近な土のある場所で…植物や土とうまくつきあえる人が増え、好きになってもらえれば、耕作放棄地や公共の場、里山などの手入れに対する関心の連鎖につながる気がします。そういうスキルや知識を持った個人が増えることで、だれもが植物や土などの身近な自然とうまく付き合って生きていけるようになったら、すばらしいなと思います。