土が変わると、世界が変わる

「土から考える」管理とは?

土の管理で大切なのは、土だけでなく植物についても考えること。そこで育つ植物が野菜でも、米でも、植木でも、それらが生育していく上でよりよい状態になる環境づくりが大切です。

たとえば設計段階では、植物が長期的に健全に生育できる環境の確保が必要です。

環境が整ったあとの管理においても、剪定の仕方や肥料・堆肥に対する考え方、残さの管理法、雑草の管理法、土地を肥やすために耕作をやめる休閑期の空きスペースとのつきあい方など…よりよい状態の土づくりをめざすなら、目的に応じたアプローチが必要です。

たとえば、公園の一般的な管理法を例にしてみると…剪定された枝はゴミとして捨てられ、落ち葉は煙草の吸殻などと一緒に捨てられています。人が頻繁に行き来するところにある植物の根本は、土が圧縮されて通気不良になり、資源の循環は見られません。土の中で生物が生きられる環境ではないため、植物は健全に生育できず、病気になったり、樹高が低かったり…土を考える管理を取り入れることのメリットは多々あり、個人個人の意識が変われば、特に難しいものではありません。

自然が、先生。

人が手を加えていない森では、土と植物がバランスを保って持続的な仕組みを構築しています。「土づくりは自然から学ぶ」という古くから伝わる言葉は、自然がすぐれた教師であることを意味しています。とはいえ必ずしも、人が管理すると土が劣化して使い物にならなくなるわけではありません。

管理の仕方によっては自然の状態以上によくなり、劣化を止めることも可能。今後は、土を管理する上での新しい常識として「土の劣化を抑制して、再生させる」ことを実践する必要があります。

土を考える管理のメリット

農地、庭、公共の場などそれぞれに異なりますが、土を考える管理のメリットは植物の生育改善。

保水力・保肥力の継続的な向上のほか、病害虫の抑制、植物の生育改善、肥料や薬剤のコスト圧縮、植物の生育をサポートする共生微生物群の増加など庭や公共の場除草作業や雑草のコントロールが可能です(場所にもよりますが、雑草を完全に抑制できます ) 。

さらにゴミの減少、清掃回数の減少、コスト圧縮、散水の減少、薬剤・肥料のコスト圧縮、環境改善、排水溝などインフラへの負担を減らすなどメリットは多岐にわたります。

土を考える人が育ってほしい

もっと自然に触れたいと願う方が増え、山や畑など、体験農園やボランティアに出かける方が増えています。一方で、植物を植えたことも育てたこともない人、何を植えても枯れてしまうという苦手意識を持った方々も多いなと感じます。

庭のご提案をすることが多いのは、単なるイベントとしてでなく、植物や土に触れる機会をつくり、育てる喜びや変化を日常的に体験してほしいから。小さくていいから上手に育てられるようになるきっかけを生み出し、家庭菜園や収穫ボランティアなどを楽しむ方が増えればいいなと思うのです。

慣れた方がおこなう場合は失敗も少なく、現場でも重宝されるはず。好きが高じて、専業農家や造園業など、なりわい化するにあたっての入り口にすればよく、公共空間や企業の植裁管理など、さまざまな場面での応用も可能です。そんな「土から考える」人々が増える入り口として、足元の小さなスペースが見直されたらすてきです。専門家やプロだけが実行できる状態をめざすのではなく、だれもが土を考える…そんな状況を生み出したいと考えています。