2020年 姫路市の公園管理の新しい形づくり研修:姫路市公園部  公園設計から公園管理まで


姫路市の行政の公園担当の部署。公園部からの依頼でパークマネジメントの新しい形づくりの勉強会をやっています。
2020年度からの開始で、第一回目は大阪府立大学の武田重昭先生とリビングソイル研究所西山の2人が講師として参加。
自治会や公園ではなく地域の広場で先進的な取り組みをしているNPO法人スローソサエティの米谷さんが参加。
第一回目は役所内で公園の現状についての話を聞いて。そこから何ができそうかを考えるという機会になりました。
何名かの担当者の方から話を聞きましたが、課題山積。
苦情
主に自治会が組織した公園愛護会が日常の公園の手入れをしているが、高齢化で愛護会をやめたいところが増えている
。愛護会の年3〜4回の除草ができるか。できない。愛護会をやめさせてあげたいけどやめさせれない。愛護会には10,000円から50,000円程度の謝礼(主に参加者に配るジュース代?)
公園の数が950近くある。公園の現業職員の方は30名程度。緑の大きな手入れは3年に1回。やってもやっても追いつかない。外注する予算も厳しい。そもそも人口減で予算が増える計画もない。この状況を変えていかないといけない。
2回目。2020年10月8日。
主に現業(現場を回ってメンテナンスをしている皆さん)を対象に姫路市の国道公園で現地実習。
本当は現業の方々が普段どういう手入れをしているのかを見せてもらって、それに対して変えるポイントや意見。
より良い手の入れ方の話やデモンストレーションの予定でしたが、雨で現業の方々は作業ができないということで、一人でデモンストレーションをやることになりました。
通常の手入れの方法について話を聞いて、聞いたことに対して答えながら低木や高木の剪定の仕方でより手入れの少ない方法を伝えました。
切り方やどうしたいかということについては、驚いたことに公園の管理をしている自治会や愛護会の方と話をして打合せをした上で、その要望に答えるという形で管理をされて来ているようです。要望自体は変わらないと思うので答え方を変えるしかないかもしれません。
実習後、思ったより現業の職員の方々からの反応は良く、敵対的にならなかってホッとしました。
違う手の入れかたを伝えるということはこれまでやってきたことが間違っているというふうに伝わる可能性もあったので、そう伝わっていなくて一安心でした。




研修をやりながら、意見や話を聞いて、現場での課題も色々と見えてきました。やはりやり方を変えるのはすぐには難しいとは想いますが、外注の業者さんには無理なことかもしれませんが、現業の方々が取り組みを変えることは可能性として有り得そうです。
最初の手入れの際にこれまで以上に手間がかかるのが課題。
これから公園の管理のどこをどうすれば良いかをメモに書き溜めていこうと思います。できることが多くありそうです。これからの長くて3年程度の期間中にどこまで変えることができるか。
変えたいことは公園内の自然の管理の仕方全体。想定する効果としては、予算削減。クレーム減少。長い期間を考えての手入れの簡易化。など様々。
研修2日後。現地を覗きに行くと作業中でした。5名で3日間ほどかかる作業。
班長の方と話をするとなかなか高評価な意見。現場で大変な現状と将来に向けての大変さなどを考えると共感してもらえるのかもしれません。
剪定の実習で雨で高木が触れなかったので、低木のヒラドツツジの剪定の実習をしたのですが、早速同じ列2列分30株位の剪定をしてくれていました。刈り込むのではなく、中から枝を抜いて、下から新しい新芽をふかす。3年後の手入れ時には2メートル超の大きな株立になっているはずですが、その際には、今回残した枝を落とし、本数を制限して高さもボリュームも落とすのが容易になります。
こn
いつもどおりトリマーによる刈り込み。

このままだと3年後壁のように茂って奥が見えない不気味な公園になってしまいます。切り方を変えることは、初年度の切る量も残さ量も増えるので手間に思われますが、3年スパンで考えると3年後には楽に良い状態を維持できるようになります。公園は明るく見通しがきいて、ひと目につかないところがなくなるのが理想だと思いますので、管理方法を変えることで近づけていければと思います。
作業中の班長と少し話ができましたが、モデル公園を作って手入れの仕方を変えるのを全体で実践できるように自治会や公園愛護会にも協力を求めるつもりだそうです。嬉しい反応です。現場目線での課題や自治会や地元の人からのクレームなど大変な仕事です。
姫路市の国道公園(くにみちこうえん)全景
今回は現地研修をした場所ですが、少しこれまでとは手の入れ方が変わっています。

2020年11月7日手入れ完了後。
手入れ後
高木の剪定については、まだちゃんと伝えてなかったのですが、やはり普通の強剪定になってしまっていました。

トリマーでの刈込みからのこぎりとハサミでの剪定に切り替えてもらったヒラドツツジ。3年に1度の剪定なので、トリマーだと2列の壁になってしまい、不気味な場所になってしまうため、この形を推奨(だたこの公園内でもこの列のみ)

トリマーで刈り込んだヒラドツツジ。これを3年に1回。比較を3年間比較で見ておこうと思います。

少しずつこれまでの管理から換えてほしいポイントが有ることを伝えたのですが、カシの木の周辺はウッドチップを散布してくれていました。この効果もしっかり実証して伝えていきたいです。カシの剪定の仕方も変えてもらえう予定です。

姫路市の浜手緑地のグリーンベルト(昭和40年代に開発なので、2020年には40年以上の年月を経過)についてどのように手を入れていけば良いかを部長や課長・現業の職員さん、樹木医の方などを交えて意見交換と意見を伝える機会を作っていただきました。
2パターンの実験区画を作って将来に渡って引き継いでいく資産になるように提案していきます。
工場からの匂いや音などを防ぐためのに植えられた樹木ですが、役割が変わりつつあり、これから数十年スパンを考えてどうしていけば良いかを考えねばならないです。




2020年12月11日
姫路市公園整備課の整備(新規の設計など)の方15名の方々に向けに公園の緑についてや公園設計についての話をする機会をいただきました。
新しく公園整備をすることが厳しくなってきている現状。 以下に小さい公園での緑の計画をしていくかという話を良い実例をスライドでまとめて伝えました。
いい公園を示し、現状の問題点を指摘。 その間隔を詰めていくことを、今後の取組としてもらう。
設計自体が変われば、手入れの手間、費用も変わります。
民間との連携による公園PFIなどによって新しく予算が増える事はありえるかもしれませんが、予算が増える予定がない現状。節約の思想ではよくできないので、やること自体を大きく変えていく必要があります。
現場だけでなく、設計などをする担当の方にも考え方をしっかり伝えて良い計画をしていただけるようにしていく必要があります。
今回の公園部の方の意見を聞いていると、実際の設計はコンサルに投げることになる。ただコンサルの人の専門知識に対して姫路市としての要望(姫路市は公園(緑)をこういう方針にする)が必要でそれがあれば随分変わりそうです。
行政としては税金を使って作ってきた公園をいきなりいらないからって言って大きく変更するということもなかなか難しいということ公務員のみなさんはやはりそういう思考を持って仕事をされてるんだなぁという難しさも感じます。
20年30年先のことを考えるとしっかり今できることをやっていくことは必要です公園設計の際、緑の配置などの計画の際に必要なことをその場でお伝えしたことも、コラムで少しずつ書いていきたいなと思います
ただ、かっこよく公園を作るという意味ではなく。税収が減り、人口が減っていくこれからの姫路市の公園のあり方としてはどのような形が理想的か、当然反対の声もあるかもしれませんが一つの比較対象として、しっかり提示して、実例をモデルケースを作って実例をつけ、作り提示していきたいと思います
2020年12月14日 リビングソイル研究所 資源循環型管理の講義

資源循環型都市管理について2020年12月13日姫路市公園部の皆さんが、リビングソイル研究所の退避施設の視察見学に来られましたこれから取り組んでいくことについて、実際にやっている取り組みを見たいということで、15名の方が来られました公園部の皆さんに加えて、ゴミの担当されている環境局の方も来られました
リビングソイル研究所では、自社で出した緑の廃棄物は全て堆肥化、炭化、チップ化、薪にするなどいずれかの手法ですべて次に繋がるような形を作っています。
ゴミとして捨てるとお金をかけて燃やされるだけです。
堆肥として生まれ変わらせてた別の場所の土壌改良に使う。
太めの枝は堆肥化するのが時間がかかるため無煙炭化器を使って炭にする。
その炭はまた現場の土壌改良で使用します。
チップにすることはあまりありませんが細い枝もいくつかはジッパーを使ってチップにすることもあります。
手間がかかるためほとんど実行していません。
最後に太すぎる幹の部分は薪として活用できる形にしています
小さな取り組みですが、少人数でやっている事業でもこういったことは可能です、これを行政がやっている大量の有機物を上手く循環させていくことができれば、今まではただのゴミとして燃やしていたものを資源として土地に返していくことができ、土地の機能が高まり、購入する資材が減り、いいことづくめ
そんな話をしたのですが、すぐに全てができるはずはないので一つずつです。現業の人達が何か出来そうな事を持って帰ってもらい取り組みを考えてもらい、モデル公園で実証する予定です。
公園の取り組みは自分1人でできることではありません
できるだけ多くの人ができる形を作り、少しずつ数年かけて形を作っていければいいなと思っています
いよいよ形づくり第一歩:緑の廃棄物計画(Green waste project)
ゴミとして捨てられている有機物の最も良いリサイクルの形を作るのは、オーストラリアにある緑の廃棄物という枠組みを作るのが一番理想的だと思います。
今は燃えるゴミ、プラスチックゴミ、その他資源ごみという枠組みになっています。
落ち葉などは燃えるゴミ。大きな枝などは粗大ごみの日に捨てられています。
これらのゴミはそのままではリサイクルすることはできません。
これらをリサイクルしようとすると、法律や条例などに引っかかる可能性もあります。
理想を言えばゴミの枠を一つ増やし、緑の廃棄物というような枠を作ります。
その枠のゴミは刈草や落ち葉、剪定枝などです。それらのゴミを、最初から分別して緑の廃棄物の日にゴミとして出せば、リサイクルは簡単になります。
その先には生ごみなどその他の有機物のリサイクルも可能になるかもしれません
ほとんどの有機物はリサイクルできますが、生ごみは匂いや虫の発生など少しハードルが高いので、緑の廃棄物がリサイクルされた次のステップとして用意しておくべきだと思っています。
これらのことを姫路市の行政の方々にお伝えし、できることを考えていただいているところです。
SDGsや、ESG投資、地球温暖化や環境問題など、社会の情勢が、この取組が必要なことを物語っています。
さらに土に還すこれらの取り組みは初期コストが低くすみます。
まずは姫路市で実現し、しっかり日本全体に取り組みを広げていければいいなと思います。
それぞれの土地で発生した有機物が還るような形が出来れば土の機能がそれぞれの場所で高まっていきます
姫路市の前にも国土交通省でも取り組みをしていただいていて、仮草を使った堆肥はもう既に6,7年の年月が経って現在も継続中です。その取り組みは行政の担当者の方が移動すれば移動した先でも展開されていきます。
ちゃんと原理原則に基づいた堆肥づくりであれば焼却コストよりも安く堆肥化することができます
2021年2月19日
今年度の姫路市公園部の研修の最終報告回。
コロナの影響が有り、研修もしっかりできず、講師の武田先生とあって話したのは2回目でした。
今年度の報告を聞いていて、随分取り組みとしては実践ができて来たんだなと実感。一年間公園部のみなさんが色々と取り組んでくれていたのが分かりました。
今年度の研修中の流れとしては大きなプランを作ったのと並行して
1、樹木が最も大きいクレームのもとというのを話あって再確認
2、それの解決を考えていこうと研修開始
3、樹木剪定方法を実習で見てもらう(10月28日)
4、剪定だけでは解決できないことの認識(そもそも植えない方が良い…?)
5、公園設計や樹種選定を見直す(検討開始)
6、剪定枝のチップ化。ゴミ減らすのと、雑草抑制のための活用
7、その他のもの(草や落ち葉など)の堆肥化
8、無煙炭化器にて太めの枝を炭化
9、炭化器で焼けない太い幹部分を配布→
現業の皆さんで取り組み推進中。

まずは職員のみなさんがクレーム処理で大変な職場ではなく、先進的な良い取り組みをしているという認識を持ってもらえるようにしていきたい。
2020年の現地研修のアンケート結果。予想通りの反対意見がでます。単年度で考えると手間も時間もかかる。3年、10年スパンで考えると楽にできるしきれいにもなる。
初回の研修で一定理解もいただたのであれば良しかな