読み終えたばかりですが、良書だったので紹介します。
落葉樹林の進化史 ロバート・アスキンズ著
鳥類の研究者である著者による温帯の落葉樹林で起こっていることを、アメリカ東海岸の落葉樹林帯、日本を含む東アジア、西ヨーロッパの落葉樹林。この3箇所を大きく温帯の落葉樹林帯と言う視点で見てさまざまな研究やそこで起こっていることを紹介する本。
植生は世界中様々だと思っていたので、似たような植生が北米や西ヨーロッパであって、そこでも野生の鹿が増えたこと、外来植物や病原菌の問題、それらによる植生の変化が起こっているという事実があることを知りました。
そんなことが起こるというのは当然かもしれないけど、世界の森林で何が起こっていて日本で起こっている問題とどういう共通点があるかなど、すでに起こった未来のように参考になることが多くありそうです。
中でも、鹿の食害による植生の変遷については、周辺の山を見ていてずっと気になっています。
下の写真の山で少しずつヒノキを間引いて、光が差し込む環境を作って、その後の植生の変化を見ようと思っていますが、生えているのはアセビやヒサカキ、アラカシとあまり鹿の食害を受けないような樹種ばかりで単純な植生。
このまま放っておくとどうなるのか。アラカシが生えているので常緑の広葉樹林(照葉樹林)になるのかもしれませんが…。
他国や日本の例が載っていましたが、鹿の数が増えすぎると鹿と共生できる草原のようになる可能性が高いということでした。そんなところも出てくるのかもしれません。
森林に於ける他国の取り組みは今まで関心を持って調べたことがなかったので、この本をきっかけに調べてみようと思います。
森林の環境には土も含まれます。この環境をどうすればより良く維持できるのか。
森にしても公園にしても、その他の公共空間にしても、田畑にしても、「昔ながらの管理」がいくら良かったとしても同じことをするのは人口が減り、高齢化していく社会構造の中ではできなくなります。これからの社会で問題になりそうなことを解決できる手段を今から探って取り組んでいかないと、いけないですね。
落葉樹林の進化
ロバート・A・アスキンズ著
黒沢令子訳
築地書館