なぜ造園屋ではないのに庭をつくるのか。vol:2

庭をつくるという仕事をしようとは以前は全く思っていませんでした。今もそれが「庭」かと言われると、そうだと言えないかもしれません。作庭家と言われる方々の話を聞けば精神的な背景や京都の修行もありません。

ただ、そんな中で現代の生活や住宅。マンションなどを見ていて、かつて繁栄していた「庭」がどこにもなくなり、コンクリートや砕石、砂利での仕上げや、アルミ、樹脂、コンクリートブロックなど、そんな素材で固めてしまう場所が増え、土や植物、菜園などが失われていっている現状を感じました。これを読まれている方も、身近な住宅で「このお宅庭が素敵だな」と思う家がいくつあるでしょうか。また、庭を作っている様子を見ることがどの位あるでしょうか。
意識して見ている自分でも良いなと思える場所は少なかったり、同じ方が作庭されたものだったり、やはり少ないのです。

造園が減った代わりには「エクステリア:外構」と言われる職種の方の仕事が増え、実際に知っている企業でも売上が右肩が上がりという所がいくつもあります。

私たちが庭に関することをしていこうと思ったきっかけは、作庭をしたい、作品を作りたいというのではなく、今のこの現状を変えたいという想いからです。

特に自分の視点から言うと最も残念なのは、土は管理が大変だからできる限り埋めようという今の方向性。確かに雑草や水たまりなどに困るのもわかりますが、扱い方次第でもっと暮らしや日常が変わるんじゃないかと思い続けていました。
土があっても困らない=雑草がコントロールできて、費用もかからず、手間もかからない
今の人の日常に出来る限り負荷をかけずに、土や緑があってよかったという気持ちにさせることができる提案を使用ということから「庭」に関わり始めました。

今日、地元の工務店(プレスト)の完成見学会に行ってきたのですが、そこでその工務店の会長も、庭がとても大切だけど、現代の普通の人の暮らしに合う庭について理解してくれる人は40年間誰もいなかったと言ってました。(そこの会社は通常の植栽は作庭会の大御所、大北美松園の大北望さんがされてるので大北さん以外にという意味で)

昔で言うと大名や貴族のようなごく一部の人たちのものとしてではなく、一般の普通の家にあってよかったという緑や土があるように。2,3年前からそんなことを考えていて、少しずつですがとても小さな例もできてきました。

3年ほど前に展示出店した植栽ユニット(1m前後×1m前後のスペースにある程度のボリュームを出して植える)金額なども規格化して概算提案ができるもの。これを住宅メーカー向けに提案していこうと思ってやってましたが、イマイチアプローチできず?
実例は少ないですが、小さくてもあってよかったにできますし、絞れば絞るほど手入れの必要性も下がるので、とても良いと思ってます。

普通の家に土や緑があってよかったと思われる。そこからその人達が好きになって土に触れる機会が増えれば、次は家庭菜園、貸し農園、農業やろうか。森でボランティア?のように広がっていくのではないかと希望を持っています。
人口が減っていくこれからの日本ではこういったある程度手入れができる人が増えることが、きれいな町並みや田舎を維持していくためには必要だと思います。
それにつながるように自分なりの庭の提案。これからも広げていければ良いなと思っています。


ヤヨイ建設「揖保川町のいえ」で小さなスペースの植栽の実例スペースは横長。