姫路駅前広場:使っている素材やコンセプトなど

リビングソイル研究所のある兵庫県姫路市の姫路駅は2014年頃に駅前の改修が終わり、随分大きく変わりました。
今、プロジェクトで庭や植栽、大きなスケールのプロジェクトに関わる際にここでの改修工事は大きく刺激を受けています。
その空間をよく使う立場で考えてもかつてのよくある車中心の駅前だったことが嘘のように今では人にとって居心地の良い空間になっています。

私たちが関わっている駅前の緑化もこの駅前広場の一角であるキャッスルガーデンにあります。写真は2020年3月10日。手入れの後

駅を北側に出てすぐ姫路城を正面に歩行者中心の空間が広がっています。車両はタクシーとバスなどの公共交通機関のみしか通れず、歩行者が通る空間が広く取られています。自家用車を駅前に入れなくするトランジットモールは日本国内では姫路駅前が初の取り組み。

姫路駅前の開発については、グッドデザイン賞特別賞を含み様々な賞を受賞されています。
https://www.city.himeji.lg.jp/shisei/0000002199.html

開発時は関わっていませんが、このプロジェクトは
・行政
・専門家チーム
・市民

という3つの大きなグループが関わり進めていくという変わった形が取られました。ただ受益するだけではなく市民も積極的に関わり意見を出していますし、専門家チームはまとめ役として明治大学教授の小林正美さん、都市設計家の小野寺康さん、ファーニチャーデザインに南雲勝志さん、というデザインチームが編成され、デザインや素材、ファーニチャーのあり方などをしっかり考えてくれています。
開発時のストーリーは市民が関わるパブリックスペースデザインという本に姫路駅前開発の経緯から内容まで詳しくまとめられています。

デザインチームの方々のおかげで使われる素材はシンプルに纏まっており、木と鉄と石。姫路城が作られたときと同じものをベースにコンクリート・レンガなど、現代の素材を組み合わせてできる限りシンプルに纏められています。

小野寺さんが著書の広場のデザインで書かれていますが、使う素材はできるだけ絞って様々な素材や色を使わないというのは、庭やその他の公共空間にも言えることです。できる限り周辺の構造物などに合わせて使う素材は絞るほうが良く仕上がると実感します。

キャッスルガーデン全景。このスケールで見ると、私たちがさわった緑のボリュームは小さすぎて殆ど見えません。まだまだやりたいけど、なかなか次のステップに進むのは難しい…。こちらは2017年、2018年の2年間(2箇所)さわってから少しお休み中です。どうすれば続きが進めていけるでしょうか。